君には、絶対に…

「お、おい、洋介!無理すんな!お前、右足―――」

「よく分かんねぇけど、動くし、力入る!大丈夫!マンツーで行こう!」

心配そうな表情で叫ぶ将人の言葉を遮り、俺は笑顔でそう言い切った。

さっきまであった違和感がない。

力は入るし、踏み込んでも震えたりしない。

たぶん、試合の間隔が空いたおかげで、少し元に戻ったんだと思う。

「分かった!でも、無理すんなよ!?睦、マンツーだ!」

相手のオフェンスを止めることが出来たことによって、うちのチームに良い流れが生まれようとしていた。

少しでも流れを掴めそうな時ほど、全力でその流れを掴まないと流れは一変してしまうし、しっかり掴めれば、勝ちに繋がる。

試合は始まったばかりだけど、ここは、仕掛けどころだ。

『パスンッ!!』

うちのチームのオフェンスが始まった直後、すぐに睦からパスをもらった。

そして、ボールを受け取ってすぐ、俺は迷うことなく中に切り込んだ。

右足を強く踏み込んでみても、違和感なんてなくて、そのままゴール下まで駆け抜けた。

いつも通りのオフェンスパターン、ディフェンスパターンで試合が出来ていることで、効率良く機能していて、相手チームを抑え込むことに成功した。

その証拠に、前半を終えたところで、23対13と、結構点差もつけることが出来た。

とにかく順調だったんだ。

右足に違和感がないから、ドライブすることも出来るし、パスも難なく捌けるし、シュートも出来る。

普段通りのプレーが出来ていることに、俺は少し安心していた。