君には、絶対に…

「絶対勝つぞ!!勝って2連覇だ!!」

睦の掛け声でまた気合を入れて、相手チームからのオフェンスからだったから、俺達はディフェンスの位置についた。

そして、この大会最後の試合が幕を開けた。

「へいへいへい!!」

『パスンッ!』

試合開始直後、俺がディフェンスしている人が、大きな声でパスを要求すると、すぐにパスが入ってきた。

ボールをもらってから、俺の右側から抜こうと考えていることは、相手の目を見ていれば分かる。

さっきの試合で、俺の右足が使い物にならなくなってきていることは、すでに知っているんだろう…。

不敵な笑みを浮かべ、俺の右側を見ながら、明らかに、仕掛けてやるっていう目をしている。

今はさっきの試合と同じく、ゾーンで守っているから、俺の後ろには将人がいるけど、抜かれたらリスクが高くなる。

これは、優勝決定戦だ。

なるべく失点しないようにしないと…負ける…。

『ダム…ダム…ダダム!!』

ゆったりとしたボールの付き方から、一気にギアを上げて、俺の右側に向かって、突っ込んできた。

とにかく、抜かれない程度についていこうと思って、軽い気持ちで、右足に力を入れて、一歩踏み出した。

さっきの試合は、力を入れて、振り返った瞬間には、もう力が抜けて、その場で滑っていたけど、今は倒れることもなく、そのまま走ることが出来た。

『バシンッ!!』

抜ききれていない状況なのに、相手が無理矢理レイアップの体勢に入ったから、俺は思い切り跳んで、相手の手から離れたボールを、コートに向かって勢い良く叩き落した。

その瞬間、会場は一気に大きな歓声に包まれた。