君には、絶対に…

『パスンッ!!』

また俺がディフェンスしている人にパスが入ってきた。

明らかに、俺のところから、徹底的に攻めようとしていることが分かる…。

だから、また俺の右側からドライブを仕掛けようとしているのか、中の様子を見ながらゆっくりとドリブルをしている。

「君、右足やばいと思うよ?」

「は?」

試合中、しかも、相手チームの人に話しかけられるとも思っていなかったし、右足のことを言われてイラッとした。

「たぶん、肉離れしてるか、これからするよ。まぁ良いけどね。」

肉離れ…?何だ、それ…?

「洋介!カバーするから無理はすんな!」

相手に話しかけられている最中、後ろから将人の声が聞こえた。

でも、さっきから将人に負担をかけているから、ここでもまた抜かれたらまずい。

だから、俺はより一層集中して、ディフェンスについた。

「まぁ、君が潰れるつもりなら、それで良いけどさ。」

「ぬ、抜けるもんなら、抜いてみろ。」

右足がダメなら、左足でカバーすれば良い。

右側からドライブを仕掛けられると抜かれるなら、右側に行かせなければ良い。

俺はそう思ったから、右側から抜けないようにディフェンスについた。

次の瞬間、ドライブを左側から仕掛けてきた。

ここでクロスオーバーかよ!!

俺はすぐ左足を出してついて行こうとした時、すぐに方向を変えられて、あっさりと抜かれていた…。

1年間、自分に出来ることはやってきたつもりなのに、この大会でまた優勝するつもりでやってきたのに、今周りの足を引っ張ることしか出来ていないことが悔しくて堪らない…。

どうすれば良い!?

試合中そう思っていると、長く感じた前半が終わってしまった…。

前半を終えてみると、22対18で逆転されていた…。