君には、絶対に…

そして、試合開始の笛の音を聴いて、相手のオフェンスから第1試合が始まった。

『ダム…ダム…ダム…。』

相手チームには失礼だと思うけど、ボールのつき方を見て、相手にならないと思った。

緊張もあるのかも知れないけど、ボールが手についてきていない。

大して脅威を感じる雰囲気も感じない。

俺達は試合序盤から攻め続けることを今年のプランとしてやってきたから、最初からディフェンスでもプレスをかけた。

プレスをかけてみると、面白いぐらいにボールを取ることが出来て、相手にほとんど得点させることなく、38対14の大差で勝利を収めた。

「お疲れ~!3人とも最初から魅せるね~!」

コートサイドのギャラリーの中から、未来先輩が勢い良く飛び出してきた。

「すごかった!上手く言えないけど、本当にかっこ良かった!」

未来ちゃんの後ろから、今井さんもテンションが上がった様子で話しかけてきた。

「いやぁ、あんな派手なプレイを試合でする予定じゃなかったんだけどね~。」

興奮しながら寄って来た2人に、いち早く反応したのは睦だった。

俺と将人は汗を拭きながら荷物を片していたけど、睦は汗を拭きながら笑って話していた。

前半の10分間で、もう試合は決定的だと思えるだけの点差をつけていたから、俺達は普段遊びでやるような派手なプレイばかりしていた。

ダンクは出来ないけど、空中でパスされたボールをキャッチして、そのままシュートを入れるアリウープとか、ノールックパスとか…。

1つ1つのプレイをするたびに、去年以上の歓声が巻き起こっていて、すごく気分が良かった。

そして、今井さんが笑っていて、すごく興奮してくれているように見えたから、俺はそれが嬉しかった。