君には、絶対に…

「悪ぃ悪ぃ!寝坊しちまった!!」

10分ぐらい4人で笑って話していると、睦がようやく待ち合わせ場所にやってきた。

いつもと違って、髪の毛はボサボサで、本当に焦ってきたことが見て取れる感じだった。

もちろん、そんな睦にも、未来先輩はちょっと茶々を入れて、またみんなで笑ってから、体育館に向かって、ゆっくりと歩き出した。

体育館に向かって歩いている最中、睦は俺に気を遣っているのか、それとも、ただ未来先輩と話したいだけなのか分からないけど、俺らの前を将人と未来先輩と3人で歩いている。

睦のおかげで、俺は今井さんと並んで歩きながら、ずっと2人で笑って話し続けていた。

今井さんと話すのは、こうして笑って話している今でも緊張している。

ただ、話し続けていくうちに、最初よりは、この緊張感にも慣れてきて、話に集中することも、素直に笑って話すことも出来るようになってきた。

たわいもない話をしているだけだけど、そんな話で、俺はウキウキして、テンションが上がる。

上手く言えないし、この言葉が的確かどうかは分からないけど、今井さんと一緒にいると、何か幸せな気持ちになるんだ。

そんな自分の気持ちに気付いた瞬間、もう1つの事実に気付いた。

気付いたというよりも、ようやく認めることが出来たっていう言葉の方が合っているかも知れない。

俺は…今井さんのことが好きなんだ…。

前から、そう感じてはいた。でも、どういうことが人を好きだということになるのか分からなかったから、ただの思い違いなんじゃないかって思ったし、好きだとは思いたくなかった。

今でも、どういうことが人を好きだということなのかは、よく分からないし、上手く説明も出来ない。

ただ、今井さんと話せば話すほど、自然と好きなんだと思えてくるんだ。