君には、絶対に…

「わ、私、何か変な格好してる!?こういう日に何を着てくれば良いのか分からなかったからなぁ…。」

「違う、違う。タメなのに、すげぇ大人っぽいなぁっと思ってさ。」

今井さんの格好は、高校生っていう感じがして、とてもじゃないけど、同じ中学2年とは思えなかった。

そして、少し焦りながら、格好のことを聞かれたから、思ったことをそのまま言葉にしていた。

「え…!?あ、ありがと…。」

「え?あ…。」

今井さんが少し動揺しながら、焦って話していることは、言葉を聞いただけで分かった。

もちろん、普段の俺だったら、絶対に言わないようなことを言った自分にも驚いて、俺も少し動揺して、顔がすぐに熱くなった。

でも、こんな会話があったから、逆に、話がしやすくなったというか、少しは笑って話すことが出来た。

ただ、話自体には、あまり集中することが出来なかった…。

だって、今井さんと話すなんて、初めてに近いことだし、初めてに近いからこそ、たくさんの発見があって、それにばかり気を取られるんだ。

例えば、今井さんの身長は、俺の肩ぐらいしかなくて、150cmちょっとぐらいなんだろうなって思ったり、肩にかかるぐらいの黒い髪の毛なんだとか思ったり、話をする時は、相手の目を真っ直ぐに見て話すんだなって思ったり…。

彼女の仕草を見ることにばかり神経がいっちゃって、何かの仕草を見つければ見つけるほど、俺は彼女から目が離せなくなっていた…。

「おっはよ~!洋介君!」

俺が今井さんと話していると、後ろの方から聞き覚えのある声が聞こえてきたから、俺は後ろを振り返る。

そこには、将人と未来先輩が歩いてきていたから。