君には、絶対に…

「まだ7時だから、飯でも食いに行く?」

体育館を出て、駐輪場に着いた時、睦が笑って俺達にそう言った。

3人でバスケをやることなんて滅多にないから、一緒にバスケをして、終わってから、どこかに食べに行って、バスケの話をするのが定例行事だった。

だから、俺は言われる前から行くつもりだったし、行くものだと思っていた。

「いや、俺はパス。未来ちゃんを送らなきゃいけないし。今日は帰るわ。」

「え~!?帰るの~!?」

将人の言葉に1番驚いていたのは、当事者の未来先輩だった。

でも、すごくごねようとしている未来先輩を他所に、将人は黙々と自分の荷物と未来先輩の荷物を自転車の籠に入れた。

その様子を見て、未来先輩も観念したのか、何も言わずに将人の自転車の後ろに跨った。

もしかして…この2人って…?

「行けなくて悪いな。また今度。じゃ!」

「またバスケしようね~!洋介く~ん!」

将人が力一杯漕ぎ始めた自転車の後ろで、未来先輩は笑って手を振りながら、俺と睦の前から去って行った。

「どうする?2人で飯食いに行く?」

俺は少し笑いながら、睦の方を見てみると、睦の雰囲気は、今までに感じたことのないぐらいに刺々しい雰囲気を漂わせていた…。

そして、睦の表情も、すごく険しい表情で、遠くを見つめていた…。

「え…あ、あぁ、行くか!2人で!!」

睦はどこか無理しながら、ぎこちない笑みを浮かべる。