君には、絶対に…

“良い?洋介君。コートを広く見るの。広く見れば、必ず私がいるから。”

俺は一呼吸して、大きく息を吐きながら、コートの中に思いっきり切り込む。

“中にドライブして切り込んだら、切り込むことに集中しちゃダメ。冷静にコートを見るのよ?”

将人のディフェンスを抜ききれていなかったけど、俺はゴール下近くまで来た。

ここだ…!!

そう思った瞬間、俺はレイアップに行くフリをしながら、思いっきり外にボールを投げた。

「え!?」

俺のレイアップをブロックしようと一緒に跳んでいた将人と、横から跳んできた睦の声が聞こえる。

『スパンッ!!』

3人ほぼ同時に着地してすぐ、頭上から歯切れの良い音が聞こえてきて、ボールが落ちてきた。

そのボールをキャッチして、後ろを振り返ると、未来先輩が笑顔でガッツボーズしていた。

「ナイス!洋介君!!」

その後、点差と徐々に詰めていくことが出来たけど、結局届かず、40対33で負けてしまった。

でも、負けた悔しさよりも、未来先輩からの1つのアドバイスで、ここまで変わるんだと実感して、俺はますますバスケが楽しくて感じられた。