3月23日。
あの大会があった日から、約半年の月日が経ち、俺達は春休みを迎えていた。

今日は珍しく睦と将人の部活が休みで、遊びがてら体育館を借りて、3人でバスケすることになった。

「洋介も強情だよなぁ~。あのゴリラにしつこく勧誘されたのに、結局バスケ部に入らなかったしなぁ~っと!」

睦は笑ってそう言いながら、持っていたボールをリングに軽く放り投げる。俺はその様子を見ながら、少し笑って話す。

「マジでしつこいんだよなぁ、あいつ。やらねぇ!っつってんだから、さっさと諦めりゃ良いのに、毎日毎日付きまといやがって…。」

「しょうがねぇよ。うちの部活は、微妙なフォワードしかいねぇからさぁ。」

俺が教室で怒鳴り散らして以来、学校であんまり話す相手がいなくなっていた俺にとって、睦や将人は、大切な友達へとなっていた。

なぜなら、2人は、いつでも俺のことを気にかけてくれて、違うクラスなのにも、休み時間になるたびに話しかけに来てくれていたんだ。

そんな時間が、あの2人を俺にとって唯一本心で話す人達へと変えた。

だから、今では、睦と将人と一緒にいる時間が楽しくて、すごく気楽だった。

「つーか、遅くね!?将人の野郎、何やってんだよ。」

しばらく話しながら、軽くバスケをしていると、睦が体育館内にある時計を見て、痺れを切らしたようにそう言った。

いつも時間厳守で行動する将人が、集合時間から30分以上も遅れている…。

「悪い!かなり遅くなった!!」

睦とそんな話をし始めた時、少し焦った表情を見せながら、将人が体育館に入ってきた。

でも、体育館に入ってきたのは、将人だけではなかった。