どうしたら、この状況を打破出来る!?

どうしたら、元の俺の印象に戻せる!?

ここは、笑いに変えるしかないか!?

そして、自分で招いた状況だけど、自分が1番動揺して、どうしたら良いのか分からない…。

嫌な沈黙が流れるにつれて、俺はこの沈黙を断ち切るべく、呆然とした自分の顔を何とか笑顔に変えて、何とか声を出す。

「な~んちゃ―――」

「い、伊原君って意外と怖いんだね…。」

弱々しく震えた声がどこからともなく聞こえてきて、それを皮切りに、みんな何も言わずに、冷たい視線を送りながら、俺の前から去って行った…。

その直後、外野で眺めていた2人が俺の元へとやってくる。

「ダメよ~洋介ちゃ~ん。ああいう場合は笑ってやり過ごさなきゃ~!」

睦が俺の右肩に手を付きながら、おちょくるような口調で笑って話しかけてきた。

睦の言葉を聞いた瞬間、人生で初めて、本気で人を殴りたい衝動に駆られそうになるぐらい、俺は本当に気が立っていた。

「まぁ、気にすんな。洋介は悪くないさ。あそこまでされたら、誰でもむかつくだろ。な?」

将人がそう笑いながら言ってくれたから、俺の中に芽生えた怒りは鎮まり、逆に、ちょっと嬉しかった。

ただ、現実的に、俺の行動によって、周りの対応は変わってしまった…。

前から話していた人には、何か話しかけにくくなり、周りはみんな俺のことを怖がっているようにしか見えなくなった…。

だから、教室の中で、俺が居心地良く、唯一居場所だと感じられるところは、窓際の1番後ろの席にある自分の席にいる時だけになった。

同じクラスの睦が話しかけに来てくれたり、違うクラスなのに、顔を出してくれる将人のどちらもいない時、俺は1人でずっと窓の外を眺めているようになった。

ボーっと過ごす日常が好きだったけど、前と違う日常だからか、どこか退屈にも思えた。