君には、絶対に…

午後6時になろうとしている頃、俺と雪乃ちゃんは学校に辿り着いた。

体育館の前は朝見た景色と同じ景色があった。

「ま~た並んじゃってるよ。」

俺が冗談半分で笑って言うと、雪乃ちゃんも少しため息も混じった感じで笑っていた。

「俺の役目はここまでだよ。あの列に並ぶのは嫌かも知れないけど、頑張って渡すんだよ?」

俺はそう笑って言いながら、雪乃ちゃんの右肩を軽く叩いた。

俺は無意識に雪乃ちゃんの肩を叩いていた。

そう、まるでコートに入る直前に、リラックスさせるために睦とか将人の肩を軽く叩いたような感じだった。

だから、雪乃ちゃんに触れてみたい気持ちがなかったとは言わないけど、今回は下心があったからとかじゃなかった。

出来ることなら、こんな形で彼女に触れたくはなかった。

もっと違った形で、もっと違う関係で、今と同じような自然な流れで彼女に触れてみたかった…。