君には、絶対に…

「学校に着く頃は、ちょうど部活が終わるぐらいだね。」

「う、うん…。」

地元が近付くにつれて、雪乃ちゃんの表情が強張って来ているのも、雰囲気も変わってきているのもすぐに分かった。

そんな雪乃ちゃんを見ていて、俺はまた無意識言葉が口をついて出ていた。

「きっと大丈夫だよ!やる前から諦めてたら、良い結果なんて出ないよ!?」

「やっぱり、伊原君の一言ってすごいなぁ…。」

「え?」

「ふふふ、何かね、自然と元気付けられるし、勇気付けられちゃう。やらなきゃって思わされちゃうんだもん。やっぱり、伊原君はすごい。」

俺の一言で雪乃ちゃんのためになるなら、すごく嬉しいことだと思える。

でも、ただの暴走であって、本当はそんな風に思えていない自分が嫌だった…。

誰も応援なんてしていないし、したくもないって思っているのに、俺は雪乃ちゃんを応援しているような口ぶりで話す…。

最低な偽善者だよ…俺は…。