君には、絶対に…

「やってみせてよ…。“やれば出来るんだぞ!”っていうところを、私に見せてよ…。そうすれば、私も勇気出せるから…。」

雪乃ちゃんの言葉は、これ以上にない複雑な心境にさせられた…。

出来ることなら見せてあげたい気持ちはある。

でも、逆に見せることが出来たとしても見せたくない気持ちもある。

だって、仮に、俺が実践出来た先にあるのは、雪乃ちゃんに勇気を与えて、その勇気を振り絞って睦にぶつかりに行くっていうことなんだから…。

俺としては、このままの状況が続いてほしい…。

もし、変わるのであれば、雪乃ちゃんが睦を諦めてくれるっていう変わり方をしてほしい…。

そう思ってしまうほど、雪乃ちゃんのしようとしていることは、俺にとって恐いものでしかなかった…。