俺達が住んでいる神奈川県の市内では、大小限らず、しょっちゅうバスケの大会が行われる。

その中でも、本当に中ぐらいの規模の大会に参加しようということになった。

その話を聞いた瞬間は、正直乗り気ではなかった。

だって、バスケを始めて3ヶ月ぐらいしか経たない俺がそんな大会に出たって、恥をかくだけだと思ったから。

今の自分のレベルはどの程度で、どこまで通用するのか知りたい。

でも、心のどこかでそう思ったんだと思う。

だから、俺は渋々ながら、あの大会に出ることにした。

初めての試合で、しかも、それが大会ということもあって、緊張していた部分はあったけど、徐々に緊張の糸が解けていくうちに、バスケそのものが楽しく感じられた。

ただ、決勝戦までの道のりも、決勝戦も、順調と言えるような試合展開は1試合だってなかった。

本当にギリギリの試合ばかりで、追い込まれるたびに、今まで感じたことのない大きな緊張感を感じ、手が震え、脚も震えた。

でも、そんな感覚こそが、バスケを楽しく感じさせたんだ。

そして、あの決勝戦を制し、優勝した瞬間ほど、バスケをやって良かったと思えた瞬間はない。

夏から秋へと移り変わり始めていた9月24日という日は、何もしていなければ、涼しく感じられた1日だったかも知れない。

でも、俺にとっては、涼しいと感じるどころか、汗が滝のように流れ続け、水道水が美味しいと感じる真夏のような1日だった。