玲はこの建物全体にまで響き渡るんじゃないかってぐらいの大きな声を出して叫ぶように言った。
あたしは驚いて目をぱちくりさせる。
叫んだ玲は今までに
見たことがないぐらい号泣している。
子供みたいに泣きじゃくり
ごめんなさい。ごめんなさいってずっと呟いて泣いている。
あたしはそんな玲を見て思ってたの。
あぁ、これが玲の本当の気持ちなのかなって。
だってもし、あたしが玲の立場なら
同じ事をするかも知れない。
好きで好きでたまらなかった人が
ある日突然、自分の大切な友人と付き合ってしまったら……
あたしもきっと羨ましいと思う気持ちと
妬ましいと思う気持ちがごちゃごちゃになってしまうと思う。
自分の気持ちを押し殺し、
誰にもこの好きって気持ちを言うことが出来なくて
一人で抱え込んで………
悩んで、悩んで……どうしたらいいかわからなくなると思う。
あたしは、ガラス越しに泣いている玲を見て
何故かホッとしてしまう。
だって………なんだか
あたしの知っている玲に戻ってくれたみたいで
嬉しくて、ホッとしたの。
あたしは目の前のガラスにゆっくりと手を伸ばす。
「玲………」
なるべく、自分なりに優しい声のトーンで
玲の名前を呼ぶ。
すると、涙を流して顔をぐしゃぐしゃに濡らした玲があたしの方を見てくれる。
そんな玲にあたしは、にっこりと微笑んだ。

