女好き彼氏



その言葉を聞いて
あたしの心臓がまた加速していく。


あたしも何か言わなくちゃって思うのに
自分の口が思うように動いてくれない。


どうしても、唇が震えてしまう。


「でも………悠雅は美夜の彼氏で……
 好きなのを……諦めようって……
 美夜のことを応援しようって……思ったの」


ぼそぼそと少しずつ、少しずつ話してくれる玲。


あたしは黙って玲の話に耳をかたむける。


「でも……美夜と悠雅が別れたとき……
 チャンスだって、思った。
 
 悠雅をあたしに振り向かせるためのチャンスだって……」


あたしはその言葉にどきりと心臓を跳ね上がらせた。


だからあのとき………

悠雅の家に玲がいたんだ。
だから、あのとき玲はあたしに
あんな表情を見せたんだ。


そのとき、玲の表情が歪む。


「ずっと、ずっと大好きだったの……
 悠雅のことが……」



玲の瞳から流れる涙。

頬を伝って
ポロポロと流れていく。


「玲…………」


呟くようにあたしは玲の名前を呼ぶ。


それにこたえるかのように
玲は下を向けていた顔を上げて
涙を流しながらあたしのことを真っ直ぐに見つめてくる。