女好き彼氏




あたしは切れてしまった携帯を耳から離してじっと見つめる。


「が、頑張ります」


呟くようにそう言ってあたしは携帯を強く握り締める。


そのとき、ちょうどタクシーが目的に着いた。


お金払って早足で玲がいるはずの場所の建物の中に入る。


その建物の中はとても殺伐としていて
勝手に自分の背筋がぴんっと伸びた。


そして、受付にいたお姉さんに話しかけて
面会の予約のことを話すと
数分後に受付と違うお姉さんがやってきて
あたしをある個室へと連れて行ってくれた。


その個室は真ん中に机で仕切られていて、机の上にはガラスの仕切があって個室は半分ずつに分けられているとても狭い空間。



その仕切られたところに向かい合わせに置かれている椅子にあたしは腰掛ける。


な、なんだか……ドラマとかでよく見たことあるけど……ほんとにこんな所なんだ。


なんて思いながら落ち着かない気持ちで
ただ、周りを見渡した。


コンコンッ


ガラスの向こうにあった白い扉からノックが聞こえる。


そして、ガチャッと音を立てて
ゆっくりとその扉が開かれた。