あたしが走って向かうのは
玲が居るはずの場所。
その場所まで遠いから
近くでタクシーに乗り込み、玲の行る場所まで連れて行ってもらう。
早く……早く、玲と話したい。
話して……あたしの気持ちをちゃんと伝えなくちゃいけない。
そう思っているあたしの心は焦っていて
足ががくがくと震え出す。
~♪
そのとき、誰かからの電話がかかってきた。
その表示されている電話番号は非通知で
出るか出ないか戸惑ったが
思いきって非通知の電話に出る。
「は、はい」
緊張で声が少し震えてしまった。
『こんにちは、海哉です』
電話の向こうから聞こえた声は
とっても低くてでも透き通るような綺麗な声だった。
その声の持ち主は自分のことを海哉だと言った。
え?え!?
か、海哉君!?
ななな、なんであたしの電話番号知ってるの!?
そう考えていたけど、あたしの喉からは焦りで言葉も出てこない。
そんなあたしに気がついたのか
電話の向こうからクスッと笑う声が聞こえた。
『ごめんね。勝手に電話番号とアドレス教えてもらって』
ああ、なんとゆうイケメンボイス。
なんて思ってる場合じゃなくて……
「い、いえ。大丈夫です。
えっと………」
あたしは何故海哉君が電話をかけてきたのかっと質問しようとしたとき、海哉君が話し出した。
『今、玲ちゃんのいる場所に向かってる?』
その海哉君の声はさっきとは違ってとても真剣なものに聞こえた。

