「玲……」



あたしはとっさに悠雅から離れた。



「あんた……悠雅に何やってんのよ」



ゆっくりとフラフラとした足取りであたしに近づいてくる玲。


そして、玲が歩くたびに聞こえる何かを引きずる音。


その変な音は玲の手に握られている金属バットが引きずられている音だと気がつくのに
そんなに時間はかからなかった。



あたしは怖くなって急いで玲から逃げようとした。



でも恐怖で足が震えて上手く足を動かすことができず、自分の足がもつれてしまいその場に倒れてしまった。



「逃がさないんだから…」


どこから出してるのかわからないほどの
ドスの利いた怖い声。


玲が倒れたあたしの近くに来て呟くようにそう言うと手に持っていた金属バットを両手で強く握る。



「イヤ……」


あたしの喉からは絞り出すような声しかでてこない。



「あたしの方が悠雅のこと好きなんだから!!!」


叫びにも似た声を出して玲は両手で握った金属バットを大きく振り上げた。