あたしはてるちゃんの声がした方を振り返りながら笑顔で挨拶をする。


するとてるちゃんは不思議そうにあたしの周りをキョロキョロと見渡した。


「あれ?玲ちゃんわ?」


てるちゃんがキョトンとした表情で
首を傾げている。


ドキンッ―…



玲………


あたしは玲の名前を聞いて
顔が怖がってしまった。

だって……昨日、玲は星野くんと…


あたしは昨日のことを考えるのをやめて
にこっと微笑んだ。


「分かんない…今日も休みかな?」


そっか。
てるちゃんはそう言ってまだ不思議そうに
あたしの周りを見ている。



会いたくない。

玲に会いたくない。


怖い……


あの時の恐ろしい玲の笑顔が頭から消えないせいかな?



玲が怖い。



「……美夜?どうしたの?」



歩きながら心配そうにあたしの顔を覗き込むてるちゃん。



あたし……暗い顔してたかな?



「何でもないよ?」



笑顔で応えるあたし。

でもその笑顔は引きつってたみたいで
てるちゃんは可愛らしく頬を膨らませた。


「嘘、笑顔引きつってるもん」