美夜*サイド




苦しい……苦しいよ…

心が張り裂けそうなぐらい苦しい。


昨日よりは
少しは落ち着いたけど

聖斗に抱かれても
まだまだ苦しい心……



自分の頭が……おかしくなる。






あたしは昨日のことを思い出さないように

自分の心が苦しくならないように

なるべく楽しいことを考えながら
学校に登校している。



「美夜…おはよ」


そんなあたしの後ろから
誰かが朝の挨拶をしてくれた。


あたしは声がした方にゆっくりと振り返ると
そこに立っていたのは聖斗だった。



昨日の事があったからなのか
いつもみたいに元気な声じゃなく
ほんとに聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声の聖斗。


そんな元気のない聖斗を見て
また自分の心がギシギシと音を立てて
苦しみ出すのがわかる。



「おはよっ」


でもあたしはそんな苦しみに負けじと
元気のない聖斗に
自分なりに元気に挨拶をした。


もちろん、
あたしなりに笑顔を目一杯浮かべながら。



でも聖斗は元気にならない。


元気になるどころか
さっきよりも元気をなくしてしまったみたいで



「あの……昨日はごめん」




呟くように誤られた。


下を向いてあたしぐらいに
縮んでしまっている聖斗の頭を優しく撫でる。




「謝らないで……あたしが頼んだんだから。
ありがとう」




ニコッと笑って見せた。


今度はあたし、
ちゃんと笑えてるかな?