───………


「ここか…、」


ついに初純の家の前までやってきた俺は迷わずベルを鳴らした。



しばらくすると、玄関の扉が目の前で開く。



中から出てきたのは、エプロン姿の初純のお母さんだと思われる人。


「すみません、初純さんと同じクラスの神崎なんですが…初純さんはいますか?」


「初純は…今、空港ですけど…」



…─空港!?




まさか…!!




「ありがとうございます!」


俺は勢いよく頭を下げ、また走り出した。



初純のお母さんはただ俺を見ていた。



だがそんなこと、気にしていられない。








今、この瞬間にもイタリアに発ってしまっているかもしれない。