────…… そして、あっという間に夏祭り当日がやってきた。 「やっぱり…苦しい…」 鏡に写った浴衣姿の自分を見て、思わず出た言葉。 「お母さん、行ってくるね!」 「は─い、行ってらっしゃい」 家を出て、港へ向かう。 慣れない下駄をカタカタいわせながら、杏理に電話をかけた。 「もしもし杏理?もうついてる?」 「初純?ごめん、ちょっと遅れる!」 「えっ」 「30分ぐらい待ってて!」 そう杏理は言って、電話を切ってしまった。