木原はニコニコしながら俺の目の前まで来た。 「人物画ってなんだよ?」 「宮下君が書きたいって言って」 「は?なんだよそれ」 「大丈夫、大丈夫♪神崎君は書かないから」 木原は意地悪そうにそう言うと、奥の舞台へ行ってしまった。 …人物画って……。 宮下も他の美術部員もほとんどやってきて、みんな体育館の舞台の上でスケッチブックを広げた。 「一登…なんか練習に身が入らねえよ」 「大丈夫だろ、気にしなければ」 「……」 「それに…、」 「それに?」 「陽平は…初純が書きたいんだと思うし」