俺は引き込まれるように、彼女と同じ目線に背を屈めた。 名前は…… さっきから匠がずっと呼んでたから、すぐに分かる…。 翠央ちゃん…だよな? 俺は握手しようと、手を差し出しながら、自己紹介をした。 翠央ちゃんは、俺の差し出した手をジッと瞬きを繰り返しながら見ている。 すぐに警戒心を解除してくれるわけねぇか…。 そりゃそうだよな…。 手を引っ込めようか、どうしようかと迷っていると、“よろしくお願いします…”という、か細い声と共に、細くてしなやかな彼女の手が差し出された。