抱きかかえた翠央を愛しそうに見ながら、スタスタと教室を出ていこうとする相沢先輩を、何も出来ないまま見ていた。


止めたかったけど、体が動いてくれなかったんだ…。

もどかしさ、悔しさ…
色んなものが重なって、次第に視線は相沢先輩を見れずに床へと落ちていった。

俺、情けねぇな…。


翠央のこと、好きなのに…離したくないのに…


奪われて、何も出来ないまま…俯くだけじゃねぇかよ…。