教室の扉の方に振り返った翠央は、相沢先輩の姿を見ると驚いて硬直していた。

相沢先輩は、そんな翠央に少し微笑み、ゆっくりと俺たちのところに近付いてくる。


俺は、それ以上近くに来て欲しくなくて止めようと言葉を発した。


少しだけ足を止めた相沢先輩は、俺から目を逸らすことなくジッと見ている。


その表情には笑みも浮かんでいなかった。



前に掲示板の前で会った、あの時とは違って、かなり威圧感さえ感じる。



だけど……


だからって、俺も翠央を渡したくねぇよ…。