「留羽、これ…お前にやる。確か…電車通学になるって言ってたよな?」
匠が差し出した袋を開けてみると、中には黒のシンプルなパスケースが入っていた。
「匠…俺のためにわざわざ……」
「大したものじゃねぇけど、使えそうなものがいいかと思ってさ。」
匠からの思わぬプレゼントに、感極まりながらジッとパスケースを見つめた。
「大学は違うけど、お互い未来に向かって頑張ろうな。たまには、こっちにも戻って来いよ?」
視線は少し俺から逸らしてたけど、すごく嬉しい言葉だった。
俺が大げさなくらいに頷くと、匠は優しい笑顔を見せてくれた。


