「おい!こっちから声がしたぞ!」
複数の兵がバタバタと走る音がだんだん近づいてくる。
そして兵が角を曲がったところで見つかってしまった。
「い、いたぞ!こっちだ!」
「捕獲しろ!!」
隊長らしき人物の指示で隊員たちはライトと銀髪の少女を取り囲んだ。
「…何?あんたら…。」
ライトは隊長らしき人物に言った。
「その少女をこちらへ渡せ。」
「…なんで?」
「そいつはこの屋敷から逃げ出したのだ。」
「逃げ出した?」
「そうだ。グリフィス領主に金で買われた玩具の分際だというのに…。」
グリフィス領主――
ライトは聞き覚えがあった。
領民から税という名目でお金を搾取したり、私利私欲のために汚い金で裏取引しているという噂が後をたたないのだ。
「さぁ、早く渡せ!」
「……やだ。」
ライトはベッと舌をだし、挑発するように言った。
「なっ…!」
「だって『玩具』じゃないし。」
ライトはそう言いながらゆっくり立ちあがる。


