彼女ノ写真

「でね、サイオンジはその時すでに、ナンパな男の右手首を握り締めてたのよ。

だからね、私はてっきりそのまま、腕を捻り上げるもんだとばっかり思ってたんだけどさ───どうしたと思う?」




どうしたと聞かれても、その時の私には、あんなとんでもない事が答えだなんて分かる訳もなく、在り来たりな回答をするしかなかった。




「この男、痴漢ですよ~!って叫んだとか?」



「サクラ~私じゃないんだから、サイオンジがそんな無茶な行為する訳ないでしょ~」



「じゃあ、サイオンジ先輩だから、やっぱり投げ飛ばした?」



「ブブー!サイオンジは、そんな凶暴な子じゃありません!」



「うーん、シキちゃんはどう思う?」



「叫んでも、投げ飛ばしてもないとすると――、、、、何だろうね?先輩がクイズにするぐらいだから、変わった事をしたと思うのよ。だから~踊ったとか、抱き締めた~とか」



「シキちゃん!私が男の人と、そんな事する訳ないでしょっ!」



「あ、すいません、、、、、」




珍しく声を荒げたサイオンジ先輩と、やはり珍しく、シオらしくなったシキちゃんの姿に、私とマキ先輩は、思わず可笑しくなって、笑い出した。