彼女ノ写真

「さ、行きましょう~!エーキチ君!茶々っと、チャチャっと、終わらせましょ!」



「YAZAWAですか!僕はっ!」



「頼んだわよ~エーちゃん!」



「だから、僕はYAZAWAですかって!いーですか、マキ先輩!───ハル先生もですけど、僕の名前に【え】なんて文字、一欠けらも入ってないんですからね!」



「いーじゃん、名前なんて~記号よ、記号!あんただって、サイオンジの事、サイオンジ先輩って呼んでるじゃん」



「そーよ!エーキチ君。名前は記号よ!第三者の認識よ!自分自身じゃないわ」



「───う、、、確かに、、、はぁ~、、、ま、行きましょう、先生」



「あ、汚れるかもしれないから、制服は脱いだ方が良いかも」



「ん?じゃあ、ジャージ着ます」



「その方がいいわね。じゃ、先に行ってるからね~♪」




ハル先生は、ハナウタと言うか、スキャットと言うかを口ずさんで、廊下に出て行った。




僕は制服を脱ぎ、先程まで座っていたイスの上に置き、バッグの中に詰め込んであったジャージを着込むと、先に歩き出していたハル先生に追い付く為、少し慌てて美術室を後にした。




その後、僕に与えられた課題は、単純な重労働だった。




日頃、順調に怠けさせている身体からは───明日、筋肉痛になりますよ?旦那!?───と、絶えず聞こえ続けていた気がする。