彼女ノ写真

「あっ、エークン！ちょうど良い時に遊びに来てるじゃない！」



「え？僕？」




ハル先生が、とても温かみにある優しげな微笑を浮かべながら、僕を手招きする。




その、ミリエル司教に出会う前のジャン・ヴァルジャンだって、惹きつけ、癒してしまう様な笑顔に、平民である僕が逆らえるはずもなく、気が付くと歩き出していた。




「何ですか？手伝うって何を？」



「いや～注文していた美術の教材やら、部の備品やらが届いたのよ。その搬入運搬を～君に任せた！」



「ええぇ？！僕にですか？」



「男の子じゃない～！あとは、みんな女の子。私を含めてよ？」



「はぁ、、、」




こういう美術部の力仕事を任された事は、何度かある。




だけどサイオンジ先輩を差し置いて、男だと言う理由だけで、僕の力がフィーチャーされると言うのは、毎度の事ながら申し訳なく思ってしまう。




左利きである先輩の、右腕ほどの力も持たない僕の両腕に期待されても、、、って話だ。




でも、世間的に見たら、草食な男と言われてしまいそうな僕を、男として扱ってくれるハル先生は、やっぱり素敵な人だ。