彼女ノ写真

「残念ね～エークン。もう少しだったのにね～。あ、私に聞いても無駄だからね。ま、解っているでしょうけど」




ど───の瞬間、肩に置かれた手が、強く爪を立てて握られた。




「痛っ！」




とっさにそんな声を上げた僕に、シキちゃんは冷たく悲しむ様な目を向け、元いた場所に帰って行った。




丈夫な素材の制服の上からでも痛みを感じるぐらいだから、シキちゃんって意外と握力があるのかもしれない。




僕が捕まえたはずの最愛の人は、そんなの君の勘違いよと言わんばかりの行動を、一年以上も飽きる事無く取り続けている。




ヒューズさんよ、どうしたもんかな？




「ねぇ～みんな、ちょっと手伝って～」




そんな言葉と共に、美術準備室こと、ハル先生の小部屋のドアが開き、中からその主が顔を出した。