サイオンジ先輩が、思わず声を出すのも仕方がない。マキ先輩が、隠れるように盗み見たくなるのも仕方がない。だって、私でも微笑ましく見守りたい気分なのだから。




もちろん、バレずに。こっそりとだ。




その時、エークンとばっちり視線が合う。心の底から、しまったーっ!と言う、初めての感情に出くわした。





「あ、マキ先輩」



「え?!」




その言葉と共に、シキちゃんはエークンの両肩を強く突き飛ばし、二メートルほどの距離を素早くとり、私達に背を向けた。可愛い。あれ?やっぱり私は、先輩たちに毒されている?




「ナイスっ!やるじゃない、少年!」




突然、マキ先輩が堂々とし始める。いや、そうじゃない。この人は元々堂々と見ていたのだ。別にバレても良かったけど、バレない方が面白そうだぞ?と言う、感性や本能に従い、堂々とこっそりしていたのだ。




それにしても良かったね、エークン。バカから少年に、戻れたよ!