彼女ノ写真

その顔は、春の匂いがする笑顔だった。




そう、彼女の笑顔は、嗅覚までも刺激する、とても不思議な笑顔だった。




だからこそ、僕は彼女の笑顔を見たかったのだろう。写真に収めたかったのだろう。




後付のようだけど、感覚的に知っていたのだ。彼女の笑顔を見る前から、彼女の笑顔に心奪われる事ぐらい。




「あの時は、ごめんなさい」




僕が回想を廻らせていると、シキちゃんがこれまたレアな僕に対しての謝罪なんて物を口にした。