「───はい。分かってます。でも、、、今はまだ言えません。もっと───、もっと、彼女を愛していると言う事を自分の中で自覚してから、全力の言葉を伝えようと思います」



「んー?───ま、あんたが何考えてんのか知らないけどさ、一つだけ忠告しとく事があるわ」



「何ですか?」



「猫は、生まれた時から気まぐれで、人から、どんなに愛情を注がれても、気まぐれのままだから、ノラ猫になっても、人との距離感は変わらない。


でも犬はね、生まれ方や生き方で、白くも黒くもなるのよ。人から愛情を注がれれば、注がれただけ、その愛に応えようと、より従順になる。


だけど、一度でも裏切られたら、ノラ犬になってしまったら、もう元に戻る事はない。従順になんか、戻らない。────分かる?」



「はぁ、、、何となくは、、、本物のノラ犬と対峙した時って、武器がないと不安になるぐらい、狂気にも似たオーラみたいなの出して、威嚇してきますもんね。って、それが何なんですか?」



「シキは、犬よ。それは忘れないようにね?」



「───はぁ」