そんな会話をしながら、用務員室の裏手、プレハブの用具入れの中にある、田中さんを焼き芋で買収して作らせたスペースに、折りたたみテーブルを仕舞い込む。




そこには、すでにイスが四つ仕舞われていて、明らかに誰かが使用目的で収納しているのが、バレバレだった。




先輩が、矢面に立つ日は近いのかもしれない。でもそん時は、共に矢を受けたいと思う。




僕にしては前向きな決意だ。




ただ先輩に、今固まったばかりの僕の決意を話したら、きっと笑われるだろう。何だかんだで、きちんと先輩している。




僕は少しばかり憧れの眼差しで、ハナウタ混じりに、用具入れの鍵を掛けている先輩をぼ~と眺めていたら、先輩は実に先輩らしい、ものすごく見当ハズレな事を言い放った。



「何だ、少年。私に惚れんなよ~?」



「──あのですね、僕には、サイオンジ先輩を敵に回す勇気なんてありませんよ。それに僕はシキちゃんの事───」




シキちゃんの事───。その先の言葉を、のどの奥に無理矢理押し込んだ。




でも、目前にまでチラつかせられた大好きなエサを、スルーするほど、僕の尊敬する先輩は人間が出来ちゃいない。