焼却炉から学校の敷地をおよそ半周、正面玄関が目の前に見えた時、シキちゃんは走るのを止めた。




息を整えるように、二、三歩前に進んで立ち止まり、振り向かないまま、私の名を呼んだ。




「はぁ、はぁ、はぁ~、、、サクラちゃん───!」



「はぁ、ふ~、なぁに?シキちゃん」



「はぁ、は~、屋上、付き合ってもらっていいかな?」



「いいよ」




答えなど、考えるまでも無く決まっていた。




微笑みながら答えたその返事に、彼女は振り向き、私以上の微笑みで答える。



「ありがとう!」



その顔はまるで、イタズラを怒られ、そして許されたあとの子供の様だった。