そして、篤紀の姿が見えなくなった瞬間、笹野京香はピンと胸を張り、笑顔であたしにこう言った。

「それじゃあ……出荷品を並べるの、手伝ってもらおうかな」

さっきのしおらしい態度はどこへやら。

彼女はまた先輩面で、あたしに仕事の説明をし始める。

……なに、この女。

「はい」と頷きながら、あたしはスタスタと前を行く彼女の背中を、ぼう然と眺めた。