ティアラ2

きっと、いまのあたしと同じで、戻れない過去を思い出したり、会えない彼女を愛おしく思っているはず。

今度はあたしの番。
そんな気持ちになった。

あのとき、ずっとこらえていた涙をめいっぱい流せたことで、あたしは現状を受け入れることができた。

透吾のおかげで意地もプライドも捨てられた。いまでも篤紀が好きだって言えるのは、このひとが「そんなあたしを撮りたいんだ」と言ってくれるからだ。

顔をジッと見る。すると、少し間を置いて、彼はにっこり笑った。
「もういいなんて思ってないよ。言ったろ? 俺も気づけたって」

夜空に咲く色とりどりの花。
彼はここに到着した圭太くんたちに手を振りながら、囁く。
「楽になりたくて……他と付き合おうかなって考えたけど、だめだよな……まだ好きなあいだは」