ティアラ2

うつむいた透吾。黒い髪が前に流れて、表情ははっきりと見えない。でも……。

「いいかなって思ったけど……拒否った美和の言葉を聞いて、俺も気づけた」

怒ってはいないみたい。むしろ、ホッとした口調でそうつぶやくの。

「まだ好きなんだろ? あのメガネくんのこと」
「……うん」

そう、あたしはまだ篤紀を忘れていない。いまでも、ふと考える。

家にいるときも、思い出の物を見たら、そのときのことを振り返るし。外へ出かけたときだって、篤紀と歩いた道を通ると胸が苦しくなるの。

「まだ好き」
さっき「やだ」って思ったのは、篤紀以外のひととしたくないって気持ちからだった。