黒い生地の上に描かれた銀色の蝶々の刺繍は、お母さんいわく「あたしの未来の姿」らしい。ちょっと派手だけど、そう言われたとき……嬉しかった。

「あんたは日本人! パーティーならともかく、普段からこんな服きてどうすんの!」

「ちょっとやめてよ! 周りに見られるじゃない!」

腰の下から入ったスリットをひらりとめくられ、慌てて直子の手を叩く。

彼女は眉間にしわを寄せたまま、「あんたはどこへ向かってるの」と小声でつぶやいた。

「どこへって……そんなの決まってるじゃない。打倒、ミスTAMAKIよ」

あごをつきだしてそう答えると、直子は目を閉じて、呆れた表情をした。

「なら、そんな格好はしないこと。それでバイト先へ行けば一発でふられるわよ、深町に」