もう駅にも着いちゃったし。これ以上、グチグチ言っても仕方ないなと判断しての一言だった。

これで「そうだよな」って反省するのなら許してやる、って思ってたの。

なのに、返ってきた言葉は……。

「自分以外の人間がちょっと目立ってたからって……ほんと面倒くせぇ」

ひらひらと手を降りながら、自転車にまたがる彼。

「なっ」

この野郎、全然……。

怒りでプルプル震える肩。

あたしは持っていた鞄を地面に置き、ヒールの靴を脱いでいく。

「わかってなぁぁぁい!」

彼の背中に、助走をつけての飛び蹴り。

全然わかってない。

いま、面倒くさいって言った?

「送ってくれてありがとう、アッキーさん!」

靴を履きながら、自転車ごと横に倒れた彼にそう言って、あたしは駅へと歩いた。鼻息を荒くして。