「明日、迎えにいこうか?」
「ううん、いいよ。もう道も覚えてるし」

……違う。絶対に違う。

「そか。じゃあ、昼前には着くように」
「はぁい」

好きになったわけじゃない。ただ、あのボトルが誰のものなのか気になっただけ。

「あ……」
「え?」

玄関のドアを開けようとしたとき、突然、透吾が背中を触ってきた。

「髪の毛」

驚いて振り返ったら、彼は1本の長い髪を持っていて……。

「ど、どうも!」

一瞬でもドキッとした自分に、嫌悪を抱いた。

その髪をサッと奪い、逃げるように家から飛び出す。ドアを思いきり強く閉めてしまった。