「あ、それで……」
あのとき、窓に身を乗り出していたのは、外に篤紀がいたから?

チラッとこちらを見る透吾は、口の両端をクイッと上げて、うんとうなずく。

「すごくソワソワしてたよ。あっち行ったりこっち来たり、かと思ったらマンションを見上げて……突っ立ってんの」

思い出しているのだろう。透吾はククッとのどの奥をならしながら、にんまりと笑う。

「で、帰らせたってわけ。まあ、違ってたら危ないし……ちゃんと家まで送るつもりで、きみがマンションを出るところまで見てたんだけど。……俺ってすごいよね。思った通り、きみたちは話し出した」

透吾の話を聞きながら、頭の中に浮かべる。別れて正解だと言った篤紀の姿を。