ゆらゆら揺れる、家々の灯り。高速道路を走る車から見る景色は、いつかに見た満天の星空にも負けないくらい綺麗で……。けれど、いまのあたしにとっては、それすらも寂しい気持ちにさせるものになっていた。

「大丈夫だよ」
「……何が」
急に言われてもなんのことだかわからない。たぶん篤紀とのことを言ってるんだろうとは思うけれど、嫌がらせをした彼にうんざりしているあたしは、素っ気なく返す。

すると、透吾は窓を少し開け、煙草をくわえながら、風を楽しむような表情をする。
「見かけない顔がマンションの敷地内でうろうろしてんな~って思ってたんだ。君の話を聞きながらね」

話を聞きながら? それは、あたしがまだ透吾の部屋にいたときの話?

「最初は怪しいやつだなぁって見てたんだけど、ふと、もしかしたら君の彼氏かも……って思ったんだよね」