冷たい目、軽蔑しているかのような態度。彼は険しい表情のまま、バイクを走らせ、あたしの前から去っていく。

頭の中がぼうっとしていた。
「…………」
小さくなるエンジンの音。
見えなくなった、彼の姿。

のどの奥に何かが詰まった。息をすることも難しくなって、あたしは立ち尽くしたまま、その苦しさに耐える。

拒まれた手を見下ろした。
触られることも嫌、って感じだった。

「……」
ジンと目が熱い。
うっすらと視野がぼやけ、地面が歪んで見えてしまう。

小刻みに震えだした唇を噛み、必死に落ち着こうとする。けれど、鼻先に集まるかすかな痛みが、それを邪魔して……。