ティアラ2

「やっぱ性悪のやることは、その辺の女とは一味違うな」

突然、聞き覚えのある声でそう囁かれた。

え、と目が点になる。驚きつつも、声がしたほうに振り向くと……。

「もう次の男か?」
思い浮かべていた姿が、ちゃんとそこにあった。マンションの門にもたれ、腕を組んでいる篤紀。手には、クシャクシャに丸めた青いエプロンが。

「なんで……」
どうしてこんな所にいるの、と頭の中が混乱する。戸惑いながらも「仕事は?」とたずねた。けれど彼は何も答えてくれず、ただ静かに、冷たくあたしの顔を睨み続ける。

「別れて正解」
長い沈黙を経て、彼の口からこぼれたのは……この言葉だった。これまでの関係をぜんぶ、間違えていたものにするかのような口ぶり。