“お前にとっては違うものなのかもしれないけど、俺にとってはすべての縁を切った状態を別れるって言うんだ”

そう言い切った彼は、別れている間、本当にあたしからの連絡を一切とらなかった。

それでたくさん後悔したから、あたしもよりを戻してからは、別れを口に出すこともなくなった。……だから、あたしたちはもう別れないと思ってたの。


「……」
待っていても彼は戻ってこない。

……嘘じゃないんだ。

まだここにいる笹野京香の視線の矢が、痛いほどに刺さる。あたしはゆっくりと体の向きをかえ、逃げるように歩き出した。