ティアラ2

この女がめいっぱい背伸びをしても、届かないくらいの高さまでのぼりつめてやる。

前に流れていた髪の毛を、ふわっと手でかきあげ、にっこり微笑んだ。悔しそうにすれば、この女は喜ぶはずだから。

一瞬だけ見えた、彼女のムッとした顔。にやりと口もとが緩んでしまう。

だけど、彼女はすぐに冷静さを取り戻した。そして……。

「そっかぁ……残念」
お得意の「しょんぼり」でそう言ったの。

「……」
どこが残念? 笹野京香さん……あなた、口もとが笑ってるわよ。